薬剤師向け / 一部保険外療養(OTC類似薬)

OTC類似薬の保険給付見直し ― 実務対応まとめ

OTC類似薬77成分・約1,100品目に薬剤費の1/4の「特別の料金」を求める新制度(一部保険外療養)が、令和9年3月に実施予定です。薬局が実務で押さえるべき知識と、技術的検討会で議論中の論点を、公的1次情報をもとに整理します。制度は検討段階のため、確定情報にあわせて随時更新します。

🔄 このページは更新前提のまとめです。2026年8月5日の第4回技術的検討会で「中間とりまとめ(案)」が示され、別途の負担を求めない範囲(対象外)が大きく具体化されました。本ページはこれを反映しています。以下は2026年8月時点で公表されている公的資料に基づく整理であり、確定した運用(対象者確認の方法、レセプト上の取扱い等)は今後の医療保険部会・中医協の議論と告示・通知で最終決定されます。最終更新:2026年8月14日。

制度の骨格(確定している事項)

項目内容
制度の位置づけ 健康保険法を改正し、保険外併用療養費制度の中に「一部保険外療養」を創設(健保法第63条第2項第6号・第86条)。長期収載品の選定療養に類似するが、選定療養とは別建ての新類型。薬剤は保険適用のまま、薬剤費の一部を給付対象外とする。
対象医薬品 77成分・約1,100品目(令和8年8月時点で1,042品目)。OTC医薬品と成分・投与経路が同一で、一日最大用量が異ならない医療用医薬品。剤形が異なるだけ・OTCの方が含量/濃度が高い場合も代替性ありと整理。ラメルテオン(令和8年7月末OTC発売)を対象成分に追加、ポリエンホスファチジルコリンは薬価削除で除外。
特別の料金 対象薬剤の薬剤費の1/4を保険給付の対象外とし、患者から「特別の料金」として徴収。残り3/4は通常どおり保険給付(給付率に応じた自己負担)。
実施時期 令和8年度中(令和9年3月)に施行予定。改正法(健康保険法等の一部を改正する法律=令和8年法律第31号)は令和8年6月5日公布
将来の拡大 令和9年度以降、対象範囲の拡大・特別の料金の割合引き上げを検討。相当部分にまで対象を広げることを目指すとされる。

参考:厚生労働省 保険局「OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しの在り方について」/大臣折衝事項(令和7年12月24日)/政調会長間合意(令和7年12月19日)

負担額の考え方

対象薬剤の薬剤費のうち1/4が保険給付の対象外(特別の料金)となり、残り3/4に通常の給付率が適用されます。3割負担の患者では、薬剤費部分の実質負担は次のとおりです。

実質負担率 = 1/4(特別の料金・全額)+ 3/4 × 3割 = 0.25 + 0.225 = 約47.5%
※ 技術料等は従来どおり。特別の料金部分の消費税の取扱い等、価格計算の詳細は今後の通知で示される見込み(議論中)。

参考:政調会長間合意(令和7年12月19日)資料の負担イメージ図

配慮対象者(特別の料金を求めない方向で検討)

社会保障審議会医療保険部会「議論の整理」(令和7年12月25日)で、以下の者は特別の料金を徴収しない方向で検討するとされています。該当性の確認方法・対象年齢等は技術的検討会で継続議論中です。

▶ 参議院附帯決議(令和8年5月28日):イトプリドを妊婦に使用する際は、別途の負担を求めない方向で整理するとされています。個別成分ごとの配慮も示されている点に注意。

参考:社会保障審議会医療保険部会「議論の整理」(令和7年12月25日)/衆参 厚生労働委員会 附帯決議

対象判断の難所:効能・効果の違い

同一成分でも、医療用医薬品とOTC医薬品では効能・効果、用法・用量、対象年齢、投与経路・剤形が異なることがあり、「OTC類似薬だから一律に対象」とは単純に整理できません。技術的検討会では、成分ごとに効能効果の一致・相違を整理しています。

参考:OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会(第1回 令和8年6月25日〜)検討事項

別途の負担を求めない範囲(中間とりまとめ 令和8年8月5日)

第4回技術的検討会の中間とりまとめで、別途の負担(特別の料金)を求めない者・療養の範囲が具体的に整理されました。窓口での対象/対象外の判断に直結する重要な内容です。

区分別途の負担を求めない範囲(対象外)の整理
効能・効果の違い OTC医薬品で認められていない効能・効果を目的として医療用医薬品を使用する場合は対象外。医療用とOTCの効能効果の対応関係を「①疾患名が直接対応/②症状等として対応/③対応しない(使用目的が明らかに異なる)」の類型で総合判断。
がん患者 がん治療中に、がん又はその治療に関連して生じた状態(抗がん剤・放射線・手術等に伴う副作用・有害事象、免疫抑制状態等)への使用は対象外。がんと直接関係しない一般的症状は対象。治療終了後の長期薬物対応は「長期使用」区分で対象外になり得る。※主たる抗がん剤はそもそも対象医薬品に含まれない。
指定難病・公費負担医療 指定難病(医療費助成の対象か否かを問わない)及び付随して発生する傷病への使用、国の公費負担医療の対象者が当該医療を受ける際の使用は対象外。小児慢性特定疾病も同様。
入院患者 入院中(退院時を含む)に対象医薬品が処方された場合は対象外
処置等の一環 医科点数表の検査(生検・穿刺等の侵襲を伴うもの)・処置・手術に伴う疼痛管理・急性期管理として、処置等と同日に新たに処方されるもの。14日分まで対象外。
医師が長期使用等を
医療上必要と判断
内服薬:年間処方日数がおおむね50週を目安(お薬手帳・オンライン資格確認の薬剤情報等で確認。確認できない場合は初診から6か月の継続等で判断)。外用薬:通年で定期的に使用しているか等で総合判断。点眼薬(通年性アレルギー性結膜炎等)は対象外。抗真菌・消毒・ステロイド外用は対象
経過措置
(令和10年度末まで)
鎮痛消炎外用薬:通年使用に加え、画像検査等で慢性かつ重度(例:変形性膝関節症 KL分類 Grade4)が客観的に確認され、医師が毎日使用を指示する場合に限り対象外。皮膚保湿剤・皮膚保護剤・角化症治療剤:通年使用かつ全身療法(免疫抑制剤等)併用の治療歴がある重症例で、毎日使用指示の場合に限り対象外。
OTCで「服用しない
こと」とされる方
OTCの添付文書で「服用しないこと」とされ、医師の個別判断で医療用が処方される場合は対象外。
▶ レセプト記載:検証を実効的にするため、診療報酬請求書等に「どのような判断で別途の負担の対象外としたか」を記載することが求められます。こども・低所得者の具体的な範囲・年齢は、引き続き医療保険部会等で検討されます。

参考:OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた中間とりまとめ(案)(第4回技術的検討会 令和8年8月5日 資料2)

今後の主な論点・スケジュール

論点状況内容・薬局への含意
効能効果の違いの整理 中間とりまとめで整理 対応関係の類型化を提示(上表参照)。成分ごとの対象/対象外は別紙の効能効果一覧・品目一覧(案)で提示。
負担を求めない者・療養の範囲 中間とりまとめで整理 がん・難病・公費・入院・処置・長期使用の範囲を整理(上表参照)。こどもの年齢・低所得者の具体的範囲は引き続き検討
窓口運用・レセプト・システム改修 継続検討 レセプトに「対象外とした判断理由」の記載を求める方針。徴収方法・レセコン改修等は今後の告示・通知・システム対応で確定。
今後の流れ R8.8下旬〜9月 中間とりまとめを社会保障審議会医療保険部会・中医協へ報告し、施行(令和9年3月)に向けて必要な検討を継続。
対象範囲の拡大・料金割合 令和9年度以降 施行状況を把握・分析のうえ、与党の関与の下で対象拡大・料金引き上げを検討。処方シフト等の影響を不断に検証。

参考:中間とりまとめ(案)「おわりに」(第4回技術的検討会 令和8年8月5日)

薬局が今から準備できること

情報源(公的1次情報)

本ページは上記の公的資料をもとに編集部が整理したものです。制度は検討段階にあり、確定内容は今後の告示・通知によります。実際の算定・運用は最新の厚生労働省通知・疑義解釈をご確認ください。

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