制度の骨格(確定している事項)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度の位置づけ | 健康保険法を改正し、保険外併用療養費制度の中に「一部保険外療養」を創設(健保法第63条第2項第6号・第86条)。長期収載品の選定療養に類似するが、選定療養とは別建ての新類型。薬剤は保険適用のまま、薬剤費の一部を給付対象外とする。 |
| 対象医薬品 | まずは77成分・約1,100品目。OTC医薬品と成分・投与経路が同一で、一日最大用量が異ならない医療用医薬品を機械的に選定。処方箋医薬品以外の医療用医薬品が対象。 |
| 特別の料金 | 対象薬剤の薬剤費の1/4を保険給付の対象外とし、患者から「特別の料金」として徴収。残り3/4は通常どおり保険給付(給付率に応じた自己負担)。 |
| 実施時期 | 令和8年度中(令和9年3月)に実施。改正法(健康保険法等の一部を改正する法律)は令和8年5月29日成立。 |
| 将来の拡大 | 令和9年度以降、対象範囲の拡大・特別の料金の割合引き上げを検討。相当部分にまで対象を広げることを目指すとされる。 |
参考:厚生労働省 保険局「OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しの在り方について」/大臣折衝事項(令和7年12月24日)/政調会長間合意(令和7年12月19日)
負担額の考え方
対象薬剤の薬剤費のうち1/4が保険給付の対象外(特別の料金)となり、残り3/4に通常の給付率が適用されます。3割負担の患者では、薬剤費部分の実質負担は次のとおりです。
※ 技術料等は従来どおり。特別の料金部分の消費税の取扱い等、価格計算の詳細は今後の通知で示される見込み(議論中)。
参考:政調会長間合意(令和7年12月19日)資料の負担イメージ図
配慮対象者(特別の料金を求めない方向で検討)
社会保障審議会医療保険部会「議論の整理」(令和7年12月25日)で、以下の者は特別の料金を徴収しない方向で検討するとされています。該当性の確認方法・対象年齢等は技術的検討会で継続議論中です。
- こども(対象年齢は検討中。自治体の子ども医療費助成との関係から「除外」か「軽減」かも論点)
- がん患者・難病患者など、配慮が必要な慢性疾患を抱えている方
- 低所得者
- 入院患者や、処置等の一環でOTC類似薬の処方が必要な方
- 医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える方
参考:社会保障審議会医療保険部会「議論の整理」(令和7年12月25日)/衆参 厚生労働委員会 附帯決議
対象判断の難所:効能・効果の違い
同一成分でも、医療用医薬品とOTC医薬品では効能・効果、用法・用量、対象年齢、投与経路・剤形が異なることがあり、「OTC類似薬だから一律に対象」とは単純に整理できません。技術的検討会では、成分ごとに効能効果の一致・相違を整理しています。
- 医療用医薬品の効能効果は、OTCより広い傾向(医療用にしかない適応で使う場合の扱いが論点)。
- 成分は同一でも最大用量・剤形・対象年齢が異なるケースの切り分け。
- 対象品目は「成分が同一の医療用医薬品のうち、最大用量・投与経路・効能効果を考慮し、OTCとの代替性が高いと思われるもの」とする方針。
参考:OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会(第1回 令和8年6月25日〜)検討事項
技術的検討会で議論中の主な論点
| 論点 | 状況 | 内容・薬局への含意 |
|---|---|---|
| 効能効果の違いの整理 | 議論中 | 77成分ごとに医療用/OTCの効能効果を突き合わせ、対象とする範囲を確定。医療用固有の適応での処方をどう扱うかが焦点。 |
| 負担を求めない者・療養の範囲 | 議論中 | こどもの年齢、低所得者・慢性疾患の具体的線引き、確認方法。窓口でどう判定するかが実務の要。 |
| 窓口運用・レセプト・システム改修 | 未確定 | 特別の料金の徴収方法、処方箋・レセプトの記載、レセコン改修。委員から「現場で混乱が生じないよう早期の情報提供を」との要望。告示・通知待ち。 |
| 医療上の必要性の判断 | 議論中 | 「医師が長期使用等を医療上必要と判断」した場合の判断基準・様式(処方箋への記載等)を検討。 |
| 対象範囲の拡大・料金割合 | 令和9年度以降 | 施行状況を把握・分析のうえ、与党の関与の下で対象拡大・料金引き上げを検討。 |
参考:技術的検討会 検討事項/医療保険部会における主なご意見(令和7年12月25日)
薬局が今から準備できること
- 対象品目の把握:自局採用薬のうち77成分に該当する品目を洗い出し、代替となるOTCの有無・価格感を整理しておく。
- 患者説明の準備:「なぜ負担が増えるのか」「配慮対象にあたるか」を一般向けにも説明できるよう、やさしい解説ページ等を活用。
- 受診勧奨とセルフメディケーション支援:OTCを含む一元的な薬歴管理、飲み合わせ確認、受診の要否判断のトリアージ体制。
- システム対応の情報収集:レセコン・電子薬歴ベンダーからの改修情報を早期に確認する。
- 最新情報の追跡:技術的検討会・医療保険部会・中医協の資料、疑義解釈・通知の公表を継続的にウォッチ。
情報源(公的1次情報)
- 厚生労働省 保険局「OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しの在り方について」(第205回・第209回 社会保障審議会医療保険部会 資料)
- 社会保障審議会医療保険部会「議論の整理」(令和7年12月25日)
- OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会(第1回 令和8年6月25日/第2回 7月8日/第3回 7月22日)資料
- 大臣折衝事項(令和7年12月24日)/自民・維新 政調会長間合意(令和7年12月19日)
- 健康保険法等の一部を改正する法律案 附帯決議(衆議院 令和8年4月27日/参議院 令和8年5月28日)
- 厚生労働省「医療保険制度改正法の成立について」(令和8年5月29日成立)
本ページは上記の公的資料をもとに編集部が整理したものです。制度は検討段階にあり、確定内容は今後の告示・通知によります。実際の算定・運用は最新の厚生労働省通知・疑義解釈をご確認ください。