医薬品情報 / 小児気管支喘息

小児喘息治療における薬物治療

小児気管支喘息で用いる吸入ステロイド薬(ICS)・ICS配合剤の商品名と添付文書の一般的な用法・用量、テオフィリン血中濃度に影響を与える薬剤・因子、スペーサー(吸入補助器具)を、薬剤師向けにまとめました。

このページの内容

  1. 吸入ステロイド薬・配合剤の用法・用量(商品名つき)
  2. テオフィリン血中濃度に影響を与える因子
  3. スペーサー(吸入補助器具)

1.吸入ステロイド薬・配合剤の用法・用量

喘息の長期管理に用いる主な吸入ステロイド薬(ICS)単剤・ICS/LABA配合剤・ICS/LAMA/LABA配合剤について、代表的な商品名と添付文書の一般的な用法・用量を示します。年齢・症状により適宜増減されます。

■ 吸入ステロイド薬(ICS)単剤

略号(一般名)主な商品名添付文書の一般的な用法・用量
BDP-HFA(ベクロメタゾンプロピオン酸エステル)キュバール成人:1回100μgを1日2回(1日最大800μg)/小児:1回50μgを1日2回(1日最大200μg)
FP-HFA/FP-DPI(フルチカゾンプロピオン酸エステル)フルタイド エアゾール/ディスカス成人:1回100μgを1日2回(1日最大800μg)/小児:1回50μgを1日2回(1日最大200μg)
CIC-HFA(シクレソニド)オルベスコ成人:1回100〜400μgを1日1回(1日最大800μg) ※小児等は用法・用量が設定されていない
MF-DPI(モメタゾンフランカルボン酸エステル)アズマネックス ツイストヘラー成人:1回100μgを1日2回から開始、効果不十分時は1回200μgを1日2回(1日最大800μg) ※小児等は用法・用量が設定されていない
BUD-DPI(ブデソニド)パルミコート タービュヘイラー成人:1回100〜400μgを1日2回(1日最大1,600μg)/小児:1回100〜200μgを1日2回(1日最大800μg、良好にコントロールされていれば100μg1日1回まで減量可)
FF-DPI(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)アニュイティ エリプタ成人:1回100μgを1日1回(症状により200μg) ※小児等は用法・用量が設定されていない
BIS(ブデソニド吸入懸濁液・ネブライザー用)パルミコート吸入液成人:0.5mgを1日2回 または 1mgを1日1回(1日最大2mg)/小児:0.25mgを1日2回 または 0.5mgを1日1回(1日最大1mg)

■ ICS/長時間作用性β2刺激薬(LABA)配合剤

略号(一般名)主な商品名添付文書の一般的な用法・用量
FP/SM(フルチカゾンプロピオン酸エステル/サルメテロール)アドエア ディスカス/エアゾール成人:ディスカスは1回1吸入を1日2回、エアゾールは1回2吸入を1日2回(力価により複数規格)。小児にはアドエア100ディスカスを1回1吸入1日2回等
BUD/FM(ブデソニド/ホルモテロール)シムビコート タービュヘイラー成人:維持療法として1回1〜2吸入を1日2回(1回最大4吸入1日2回まで増量可)。SMART療法では発作時に頓用吸入を追加 ※小児等は用法・用量が設定されていない
FP/FM(フルチカゾンプロピオン酸エステル/ホルモテロール)フルティフォーム成人:1回2吸入を1日2回(力価により複数規格)
FF/VI(フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ビランテロール)レルベア エリプタ成人:1回1吸入を1日1回(レルベア100 または 200エリプタ) ※小児等は用法・用量が設定されていない
MF/IND(モメタゾン/インダカテロール)アテキュラ成人:1回1カプセルを1日1回(低用量・中用量・高用量の3規格) ※小児等は用法・用量が設定されていない

■ ICS/長時間作用性抗コリン薬(LAMA)/LABA 配合剤

略号(一般名)主な商品名添付文書の一般的な用法・用量
MF/GLY/IND(モメタゾン/グリコピロニウム/インダカテロール)エナジア成人:1回1カプセルを1日1回(中用量・高用量の2規格) ※小児等は用法・用量が設定されていない
FF/UMEC/VI(フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ウメクリジニウム/ビランテロール)テリルジー エリプタ成人:1回1吸入を1日1回(喘息にはテリルジー100/200エリプタ) ※小児等は用法・用量が設定されていない

【凡例】 剤形 HFA:加圧噴霧式(pMDI・HFA噴射剤)/DPI:ドライパウダー定量吸入器/BIS:ブデソニド吸入懸濁液
ICS BDP:ベクロメタゾンプロピオン酸エステル/FP:フルチカゾンプロピオン酸エステル/CIC:シクレソニド/BUD:ブデソニド/MF:モメタゾンフランカルボン酸エステル/FF:フルチカゾンフランカルボン酸エステル  LABA SM:サルメテロールキシナホ酸塩/FM:ホルモテロールフマル酸塩水和物/VI:ビランテロールトリフェニル酢酸塩/IND:インダカテロール酢酸塩  LAMA UMEC:ウメクリジニウム臭化物/GLY:グリコピロニウム臭化物

用法・用量は各製剤の添付文書に基づく代表例です。小児の適応・用量は製品ごとに異なり、設定のないものもあります。実際の投与は最新の添付文書を必ずご確認ください。
参考:日経メディカル 処方薬事典(吸入ステロイド薬)

2.テオフィリン血中濃度に影響を与える因子

テオフィリンは有効域が狭く(目標血中濃度 8〜15μg/mL)、相互作用や生理的要因で血中濃度が変動します。痙攣誘発・悪心等の中毒症状に注意し、血中濃度モニタリングが重要です。

▲ 血中濃度を上昇させる(クリアランス低下・中毒に注意)

  • マクロライド系抗菌薬(エリスロマイシン、クラリスロマイシン)
  • ニューキノロン系抗菌薬(シプロフロキサシン、エノキサシン等)
  • シメチジン(H2受容体拮抗薬)
  • カフェイン(コーヒー・お茶・エナジードリンク・カフェイン含有OTC等)*CYP1A2の競合阻害
  • 抗真菌薬、アロプリノール、一部の経口避妊薬
  • 発熱・感染症(特にウイルス感染・インフルエンザ)
  • 肝機能障害、うっ血性心不全
  • 月齢の低い乳児(代謝が未熟)

▼ 血中濃度を低下させる(クリアランス亢進・効果減弱)

  • 喫煙(受動喫煙を含む)
  • 抗てんかん薬(フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン)
  • リファンピシン
  • セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)
  • 高蛋白・低炭水化物食 等

本リストはテオフィリンの薬物動態に関する一般的な知見を整理したものです。個別の添付文書・相互作用情報を必ず確認してください。

3.スペーサー(吸入補助器具)

pMDI(加圧噴霧式吸入器)はスペーサー(バルブ付きホールディングチャンバー)併用で口腔咽頭への薬剤沈着を減らし、肺到達率と噴射・吸入の同調のしやすさが向上します。うまく吸えない乳幼児ではフェイスマスクを併用します。国内で市販されている主な製品例は以下のとおりです(各社の製品情報に基づく)。

製品名販売元(例)一般的な特徴
エアロチャンバー・プラス(Flow-Vu付)アムコ(Trudell Medical)吸気を確認できるインジケーター付き。静電気防止素材。マスク/マウスピースの選択が可能で乳幼児〜成人に対応。
ボルテックス(VORTEX)村中医療器(PARI)アルミ(金属)製で静電気の影響を受けにくい。マスク併用タイプあり。
オプティチャンバー ダイアモンドフィリップス静電気防止設計。吸気が速すぎると音(笛)で知らせる機能を備える製品がある。

このほかにも各社から複数のスペーサーが販売されています。気管切開・人工呼吸管理中の患者では、回路に接続して使用できるタイプを選択します。

上記は国内で入手可能な製品の一例で、各社の公開している製品情報に基づき編集しています。販売元・仕様・適合デバイスは変更される場合があるため、使用にあたっては各製品の最新の添付文書・製品情報をご確認ください。

関連ページ